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 試験日(8/4)までラスト1週間です。今日は引き続き、昨年度、技術士受験に向けて、事前にヤマを張って用意した小論文を紹介いたします。これまで紹介したものは下記の7つです。

[技術士] 建設一般のネタ① 安全・安心の社会づくり
[技術士] 建設一般のネタ② 地球環境について
[技術士] 専門知識のネタ① アルカリシリカについて
[技術士] 専門知識のネタ② エココンクリートについて
[技術士] 専門知識のネタ③ 塩害について
[技術士] 専門知識のネタ④ 非破壊試験について
[技術士] 専門知識のネタ⑤ 繊維補強コンクリート について

 ラスト一週間ではありますが、第8弾として「中性化」についてご紹介したいとおもいます。なお、今回の用意ネタは全文形ではなく「パーツ」として用意していたものですので文字数が少なくなっています。「塩害」とあわせて眺めてください



【劣化の機構】
 コンクリート中の鉄筋は、厚さ3nmの不動態皮膜に覆われており、これにより発錆が抑えられている。不動態皮膜が破壊される原因は、
 ①コンクリート中の塩分が増加
 ②コンクリートの細孔溶液のpHが低下
の二つであり、中性化(炭酸化)は②に該当する。中性化はコンクリートに二酸化炭素が侵入し炭酸化反応を起こすことによるものである。炭酸化反応は、

 ・H2O + CO2 → H2CO3
 ・Ca(OH)2 + HsCO3 → CaCO3 + 2H2O

と表すことができる。炭酸化反応によるpHが13→11以下に低下することで不動態皮膜が破れ、これに酸素と水分が加わることで発錆する。発錆により鉄筋の体積が2~4倍となり、この膨張圧でひび割れが発錆したり、かぶりコンクリートが剥落する。また中性化により、細孔構造の変化、水和物の変質によりコンクリートそのものの強度が低下する。
 中性化しやすいコンクリートの条件は、
 ・表面が緻密でない
 (ポーラスな骨材の使用、W/Cが大きい、ジャンカやひび割れが存在する)
 ・乾燥している
 (過度に湿潤していると二酸化炭素が入りにくい)
が挙げられる。

【調査方法】
 中性化(炭酸化)の状況を判断する方法としてフェノールフタレインの1%エタノール溶液を使用する。コンクリート面を斫り取った面やコアに噴霧し、赤紫色になったところは中性化に至っていないと判断する。注意点としてフェノールフタレイン法ではpH10以上では着色するが、鉄筋の発錆はpH11以下で開始するので、pH10~11の領域を見落とさないことが上げられる。

【対策】
 中性化に対する対策には次のものが挙げられる。
①鉄筋のかぶりを大きく取る
 中性化速度は、時間の平方根に比例するのでかぶりが大きいほど、発錆リスクを抑えられる。また所定のかぶりを確保、ジャンカ発錆の防止のため施工監理を行う。
②表面のコーティング
 中性化は、二酸化炭素と水、酸素が無ければ発生しない。コンクリートや鉄筋の表面をコーティングしたり、ひび割れ補修を行うことで劣化を抑えることができる。
③再アルカリ化
 中性化したコンクリートに対し、アルカリ溶液を表面から浸透させる。注意点としては塩害を併発しているときは、先に脱塩してから行うことである。
④劣化部の打ち換え
 中性化したコンクリートは、強度低下を引き起こしているので構造体として支障がでると判断されるときには劣化部をすべて斫りだし、コンクリートを打ちかえる必要がある。

【まとめ】
 中性化深さが鉄筋位置まで到達し、発生することでひび割れが生じるが、ここから塩分や水分が供給されることで塩害や凍害を併発し劣化が加速度的に進むことが考えられる。貴重なコンクリート構造物の社会ストックを延命させて長期で使用していくためにも、維持管理を適切に行っていく必要がある。



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» 質問
はじめまして。時々拝見させて頂いております。ちょっと2点ほど教えていただきたいのですが、
①中性化でコンクリート自体の強度が低下するといった事が書かれていますが、中性化しても強度に影響はなく寧ろ強くなると言う説も多いのではないでしょうか?
②再アルカリ化工法を用いる場合、塩害を併発している場合、脱塩を行ってから再アルカリ化を行うと言うのがよく理解できません。確かに塩化物イオンがあると電気浸透が阻害されるため脱塩を行った後、再アルカリ化という説明を他でも聞いたのですが、私が持っている参考書に脱塩工法を行った後の補修効果の確認として中性化試験を行うと記載されています。この記述から脱塩をするということは再アルカリ化も行っているものかと思っていました。通電期間も脱塩工法の方が長いので・・・脱塩工法の補修効果の確認として中性化試験を行うというのは間違ってはいない事なのでしょうか?
お答え頂ければ幸いです。
oioi 2007/07/30(Mon)19:03:21 編集
» Re: oioiさん
oioi様。いつもご覧頂きありがとうございます。

①>中性化でコンクリート自体の強度が低下するといった事が書かれていますが、中性化しても強度に影響はなく寧ろ強くなると言う説も多いのではないでしょうか?

oioiさんの言われるとおり、中性化(炭酸化)により細孔量が減少する場合が多いことから強度増となる報告も多いと聞きますが、
3CaO・2SiO2・3H2O + 3H2CO3
  → 3CaCO3 + 2SiO2 + 6H2O
に示すようにセメント硬化体の大部分を占めるC-S-H(珪酸カルシウム水和物)も炭酸化により分解してしまいます。私はこちらの効果の方が大きいと思いこのような論文準備をしました。この考え方はおかしいでしょうか?

②>再アルカリ化工法を用いる場合、塩害を併発している場合、脱塩を行ってから再アルカリ化を行うと言うのがよく理解できません

コンクリート診断士的な視点で考えるならば、コンクリートの劣化は私はまず「複合劣化」を疑うべきだという考えを持っています。自然界に作られる人造物であるから、受ける被害も教科書通りではないと考えたいとおもっています。さて再アルカリ工法ですが、塩害と中性化の複合劣化の場合、再アルカリ化処理溶液を再アルカリ化工法で含浸させるとき、塩化物の含有量が多いとうまく一様に含浸してくれません。となると、せっかく再アルカリ化を行っても表面部分しかアルカリ化されないことになります。言ってみれば中性化領域がコンクリート内部に閉じ込められるような形になってしまい、外見上はキレイに直しても、内部の鉄筋周辺では中性化に伴う不動態皮膜の破壊による鉄筋腐食が進むと考えます。一様に再アルカリ化溶液を含浸させるにはしっかりと脱塩して再アルカリ化を行うか、面積が小さい場合には打ち替えを行うべきだとおもいますが、この考え方はおかしいでしょうか?

ご意見いただければと思います。
zeeco URL 2007/07/31(Tue)23:43:00 編集
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1975年東京生まれ茨城育ちの34歳。社会人になってから誰に褒められるわけでもないのだが土木系の資格にチャレンジ。

【資格取得年度】
12年度:新社会人に!
12年度:コンクリート技士
14年度:コンクリート主任技士
15年度:一級土木施工、技術士補、土木学会二級技術者
17年度:コンクリート診断士
18年度:技術士(建設部門:鋼構造およびコンクリート)

17年度にトンネルで技術士に初挑戦したがあえなく玉砕。見切りをつけて得意のコンクリートで再挑戦したら合格できました。そんなモンです。

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